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クラウドを活用するメリットとデメリット

作成者: 合同会社 Linkup|2021/02/07 15:00:00
 

このブログでは度々、『クラウド』というキーワードを何気なく使ってきました。インターネットで IT のサービスを検索しても、クラウドというキーワードはごく自然に使われるようになりました。今回はいつの間にか定着している『クラウド』とはなにか、そしてどんなメリット、デメリットがあるかをご紹介します。

クラウドとは?

Wikipedia ではクラウドについてこのように解説されています。

クラウドコンピューティング(英: cloud computing)は、インターネットなどのコンピュータネットワークを経由して、コンピュータ資源をサービスの形で提供する利用形態である[1]。略してクラウドと呼ばれることも多く、cloud とは英語で「雲」を意味する。

もう少し噛み砕いて説明すると、アプリケーションやコンピュータによる演算能力、アプリケーションを動作させるための環境などをインターネットを使って利用するというものです。利用するという事がポイントで、従来のソフトウェアやサーバーなどのコンピュータなどは購入して所有していました。

しかし、クラウドではアプリケーションを月額XXX円で利用したり、サーバーの利用を申し込んで、稼働した時間分を従量課金で支払ったりします。身近な例ではオンライン会議ツールの Zoom や保存領域の Dropbox、ホームページを作成できる Wix、コミュニケーションツールの LINE もクラウドの一つです。

クラウドのメリット

では、こうしたアプリケーションやサーバーを所有せずに利用するようになったことで、どんなメリットが生まれたのでしょうか。

初期費用が安価になった

クラウドの一番のメリットは、初期投資コストの軽減です。

これは企業にとって大きな負担であった従来型のオンプレミスシステムに対する鮮明な利点です。例えば、共有ドキュメントやファイルストレージ、さらにはOffice系のアプリケーションなど、必要な機能を提供するコラボレーションツールに注目すると、このメリットはより明確になります。

MicrosoftやGoogleなどは、それぞれMicrosoft 365やGoogle Workspaceというクラウドベースのツールを提供しており、一人当たりのコストは数百円からと非常に安価です。これにより、企業は必要なツールを低コストで導入し、高価なライセンス料や維持費を大幅に削減することが可能になりました。

また、これらのサービスには試用期間が設けられており、企業は自社の業務環境に適合するかを無料でテストすることが可能です。つまり、具体的な投資を行う前に、その利益と効果を評価する機会を得ることができます。

これは、企業が新しいツールに移行する際のリスクを軽減する大きな要素となります。

どちらのツールも、表計算、文書作成、スライド作成などのOfficeソフトウェア、電子メール、オンライン会議機能、共有ストレージ領域といった幅広い機能を提供しています。また、これらのツールはPCだけでなく、スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスでも使用できます。一部の上位プランでは、これらのデバイスの管理機能も提供されており、組織全体のIT管理を一元化することが可能です。

従来のコラボレーションツールを導入する際の最大の障壁の一つは、そのコストでした。

ツールを稼働させるためのサーバーやネットワーク機器の購入、ソフトウェアライセンス、ユーザーライセンスなど、初期投資として数千万円から数億円を見込む必要がありました。企業の規模やシステム構成によりますが、特に小規模な企業ではこの初期費用が導入を阻害する要因となっていました。

しかし、クラウドサービスの登場により、これらの障壁は大きく低下しました。サーバーやネットワーク機器の物理的な購入が不要になり、またツールやユーザーライセンスのコストも大幅に削減されました。これにより、小規模企業でも、以前は困難であったコラボレーションツールの導入が容易になり、企業の生産性向上や業務効率化に大きく貢献しています。

すぐに使える、すぐに止められる

従来のオンプレミス型のソフトウェアでは、導入には時間とコストがかかり、一度導入した後にサービスを停止することは大きな損失を伴うことが多く、それを維持することにも大きなコストがかかっていました。

これに対して、クラウドサービスは即時利用が可能で、ユーザーの需要、起業の成長に応じて利用数や機能を増やしたり、または削減することが簡単に行なえます。

具体的には、Google Workspace や Microsoft 365 などのクラウドサービスは、ユーザー登録するだけでお試し期間が開始され、利用を開始することができます。これにより、時間とコストをかけて物理的な設備を設置したり、ソフトウェアをインストールしたりする必要がなくなります。

また、従業員数の増減に応じてライセンスの数を簡単に増減させることが可能です。これにより、会社の規模変動に対する柔軟な対応が可能となります。

上位のプランではセキュリティを確保するための機能が豊富に提供されていることが多いのですが、これは企業の成長に伴い必要に応じて導入することを用意にしています。

さらに、サービスの使用を停止したい場合も、すぐにサービスの解約が可能です。ただし、実際にはデータの移行や保存などの作業が必要になるため、完全にサービスを止めることが容易とは言えません。しかし、物理的な機器やソフトウェアを購入した際のような大きな損失を避けることが可能です。

高度なセキュリティ基準に準拠している

GoogleやMicrosoftといった巨大なテクノロジー企業は、自社のクラウドサービスに対して、極めて高度なセキュリティ対策を施しています。

これは、ユーザーの信頼を維持し、自社サービスの信頼性を保証するための不可欠な要素であり、特にビジネス用途で利用される場合には、より一層重要となります。

これらの企業は、ユーザーデータの暗号化、定期的なセキュリティ監査、脆弱性を評価・改善するためのプロセス、そして不正アクセスやデータ漏洩を防ぐための高度なセキュリティシステムを導入しています。

これらの措置は、標準的なオフィス環境で個別に実装するには莫大な費用と時間を要するものであり、その全てをクラウドサービスがカバーしてくれます。

また、これらの企業は様々な国際的な規制や標準に準拠しています。

例えば、ISO 27001(情報セキュリティ管理システムの国際規格)やGDPR(EU一般データ保護規則)などの重要なセキュリティとプライバシー関連の規制を順守しています。これにより、ユーザーは自社のデータが適切に保護され、管理されていることを確信することができます。

したがって、GoogleやMicrosoftのクラウドサービスを利用することで、安価に始められるだけでなく、高度なセキュリティ対策を享受することができます。もちろん、個々の企業が自身のデータの安全性に対する責任を理解し、適切な利用と管理を行うことが必要ですが、それに加えてこれらの企業が提供するセキュリティ基準は、データ保護を強化する強力なツールとなります。

クラウドのデメリット

基本的にセルフサービス

クラウドサービスは利便性の高さが特徴的ですが、その反面、ユーザー自身がサービスを理解し、適切に利用する責任が求められるというデメリットもあります。

特に、これらのサービスは基本的にセルフサービス形式で提供されているため、利用を開始するためには、ユーザー自身で申し込みを行い、ツールの機能を理解し、適切に使用するための知識を習得する必要があります。

また、多くのクラウドサービスプロバイダーは、詳細な説明や教育、導入支援といった面でのサポートを提供していません。そのため、ユーザーは、問題や疑問が生じたときには、自己解決を試みることが多くなります。これには、ヘルプページやブログ記事、フォーラムなどのリソースを調査し、自分の問題を解決するための答えを見つけ出す能力が求められます。

しかし、これらのデメリットは、近年では緩和されつつあります。

導入支援を行う企業や、無料チャットを通じたサポートを提供するサービスが増えており、また、多くのクラウドサービスプロバイダー自身が、導入支援の相談やパートナー企業の紹介といったサポートを提供しています。これにより、ユーザーが感じる不便さは、徐々に軽減されています。

とは言え、クラウドサービスの利用者や管理者は、自己教育や問題解決のスキルを磨き続けることが求められます。この能力が、クラウドサービスのメリット、価値を引き出し、自社のビジネスやプロジェクトを効率的に運営するための鍵となります。

使いこなすにはそれなりにスキルが必要

クラウドサービスの本質は、その利便性と柔軟性にありますが、これは同時に、サービスの使用方法と結果が大いに利用者に依存することを意味します。

クラウドサービスの特性上、利用者がどの程度の機能を活用するか、そしてどれだけのユーザーがその機能を使用するかは、個々の組織や利用者によります。したがって、サービスが提供する機能の一部しか使用しなかったり、可能な利用者全員がサービスを使用しなかったりすることはよく見られます。

さらに、提供されている機能やサービスが多いほど、その全てを使いこなすことが難しくなります。

これは、特に複雑な機能や多機能なサービスにおいては、利用者が全ての機能を十分に理解し、それらを適切に使用するためのハードルが高くなる可能性があります。

また、クラウドサービスの適切な使用と管理には、一定のITスキルが必要となります。

このため、組織内のITスキルを持つ人々に対して、サービスの管理業務や利用に関する質問が集中する傾向があります。さらに、クラウドサービスは頻繁にアップデートされるため、これらの変更に追従するためには、利用者が定期的に新しい情報を取得し、学び続ける必要があります。これらの要素が、クラウドサービスのデメリットとなる場合があります。

まとめ

本記事では、現代のビジネス環境において広く受け入れられている「クラウド」についての基本的な理解を深め、その主要な利点と欠点について詳しく解説しました。

特に、クラウドサービスは初期費用が低く、また企業規模の大小に関わらず始めることが可能です。この特性は、資源(人的、物的、財政的)に制約がある中小企業にとって大きなメリットをもたらします。

クラウドサービスは、業務の効率化、コラボレーションの強化、ITインフラの運用コストの削減など、様々な可能性を提供します。また、クラウドベンダーが提供する強力なセキュリティ対策は、データ保護とプライバシーに関する懸念を大幅に軽減します。

しかし、クラウドサービスの活用には注意も必要です。利用者自身がサービスの申し込みから運用までを管理する必要があるため、ITスキルが必要となる場合があります。また、サービスの全機能を最大限に活用するためには、適切なトレーニングと継続的な学習が求められます。

それらの挑戦を克服すれば、クラウドサービスは中小企業が成長し、競争力を維持し、ビジネスの効率を最大化するための強力なツールとなることでしょう。